こんぶ・かつおぶしプロジェクト 〜日本文化の源流を枯渇させない、素材と道具の再生へ向けて〜
「昆布鰹節プロジェクト」――少し変わった名前に、「おや?」と思われた方もいるかもしれません。まずは、この名前の由来をお話しさせてください。
今や「DASHI(出汁)」や「UMAMI(うまみ)」は、世界共通語になりました。
海外のシェフたちがこぞって絶賛するのは、その豊かな味わいはもちろん、鰹節や昆布の出汁が「あっという間に引ける」という手軽さです。
その言葉を耳にするたび、私はこう声を大にしたくなります。
「鰹節も昆布も、何百年もの歴史を経て今の形になり、今でも気の遠くなるような手仕事によって作られている。だからこそ、私たちは短時間で最高の出汁を引くことができるんだ」と。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」が、鰹節と昆布なしには成り立たないことは、言うまでもありません。しかしこれは、食の世界だけに限った話ではないのです。
日本の「衣食住」すべてにおいて、その基礎を支える重要な素材や道具を、先人たちは知恵と経験で作り上げ、進化させてきました。その結果、世界でも類を見ないほど、細部までこだわり抜かれた繊細で機能的な文化が、この国に根付いたのではないでしょうか。
しかし現在、工芸における「出汁」とも言える素材の調達や、道具を制作する職人の技術が、深刻な存続の危機に直面しています。工芸の世界だけでなく、和食や伝統建築や芸能など、あらゆる日本の伝統が同じような状況にあるのです。
いま、日本文化を心から愛し、深く知りたいと願う人々が世界中で増えています。国内でも、伝統文化を世界へ発信する動きが活発になっています。
しかし、その伝統を陰で支える人々、道具、技術が枯渇してしまえば、そう遠くないうちに伝統そのものが成り立たなくなってしまう――そんな未来が見えています。
手遅れになる前に、一人ひとりが、そして社会全体がこの問題に目を向け、文化を守る新しい方法を見つける時が来ています。
海外のシェフたちの言葉からヒントを得て、私たちはこの「こんぶ・かつおぶしプロジェクト」を立ち上げました。日本文化を裏で支える「人」や「物事」にスポットライトを当て、未来へつないでいくためのプロジェクトです。